いくみ研究

2011年11月 4日 金曜日

いくみ研究

[事例]
 出願人Xは、実施例1として、A成分の単独使用、実施例2として、A成分およびB成分の併用使用を記載したJP出願(1)をした。
 その後、出願人Xは、JP出願(1)の明細書のうち、実施例2に関する記載を削除し、JP出願(1)を基礎とするPCT出願(2)をした後に、PCT出願(2)は、国際公開された。
 その後、出願人Xは、A成分およびB成分を併用することを特徴とする請求項1をクレームしたJP出願(3)をした。
[争点]
 JP出願(3)は、拒絶理由を有するか否か。
[結論]
 A成分およびB成分を併用する実施例2は、PCT出願(2)の出願時に、削除されているため、国際公開されない。
 しかし、WIPOのホームページからは、PCT出願(2)の基礎出願であるJP出願(1)を閲覧することができる。
 一方、特許審査便覧3207には、「ウェブページ等へのアクセスにパスワードが必要であったり、アクセスが有料であったりする場合でも、以下の(ⅰ)及び(ⅱ)の双方を満たす場合は、そのウェブページ等に掲載された発明は、公衆に利用可能となったといえる。
(ⅰ)ウェブページ等に掲載されている事項の存在及び存在場所を公衆が知ることができたこと。
(ⅱ)不特定の者が当該事項にアクセス可能であったこと」と記載されている。
 そのため、JP出願(1)に記載された実施例2は、JP出願(3)の出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明となっている。
 従って、JP出願(3)は、新規性違反の拒絶理由を有する。

投稿者 いくみ特許事務所 | 記事URL

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